秋の風景「秋の夜長 

 

 ことわざに「秋の日は釣瓶落とし」があるが、「釣瓶」とは、水を汲むために、井戸の中におろす桶のこと。その桶が井戸にストンと滑り落ちるように、夕日が一気に沈み、あっという間に日没になる光景を言う。そんな感じに秋になって日が短く感じられるようになり、夜が長くなってくる。そんな季節で窓を開けると鈴虫が鳴き、外からのヒンヤリとした風心地よく過ごせる秋は、夏よりも日が短くなり冬至に当たる12月21日まで夜の時間が長くなっていく。子供の頃は、ついつい読書や趣味にふけったりして夜遅くまで起きていて親に怒られたこともたこともあったはず。松尾芭蕉の句には「秋深き隣は何をする人ぞ」というのがあるが、これは秋が深くなり床に伏せって静かにしていると自然と隣の人の生活の音が聞こえ、隣の人は何をしている人だろうなどと色々想像してしまうという解釈だが、近所づきあいが希薄な今の時代には「だから、何?」と言われてしまうかもしれない。