秋の風景「紅葉狩り(もみじがり) 

狩り」とは本来は、獣などの獲物を捕まえることを意味した。時代がくだり、今では果物を採ることにも使われるようになり、「いちご狩り」や「ぶどう狩り」となった。いずれにしても「食べる」ことにつながる行為だったことにかわりはない。ところが、「捕る」ことも「採る」こともなく、つまりは「食べること」とは無縁なのが「紅葉狩り(もみじがり)」。一説には狩猟をしなく「食べる」ことに不自由のない宮廷や貴族たちが、草花や自然を愛でることを「狩り」と表現、紅葉した山を眺め、あるいは山に入って草花を楽しんだことが『万葉集』以来の文献にも記述がある。これらを「紅葉狩り」と称したともいわれている。紅葉した葉を「手に取る」ことを「狩り」とあらわしたともいわれている。獲得するではなく愛でることが「狩り」となったというわけだ。今どきでいえば、紅葉狩りに行って写真を「撮る」ことも楽しみのひとつ。紅葉狩りの「狩り」には、さまざまな「とる」が関わっていると言えそうだ。