秋の風景「拾い 

 

  子供の頃、美味しい栗をたべたいばかりに、山に入って栗拾いをしたものの、あのトゲトゲ部分のイガが指に刺さって痛い思いをしたという経験はないだろうか。大人でも中には美味しい栗が隠れているので、イガがあるというリスクがありながら、栗拾いに夢中になる人もいる。栗拾いの時期は地域にもよるが、だいたい9月中旬~10月中旬頃。今では栗拾いができる観光農園が全国にあり、持ち帰って炊き込みご飯にしても美味しい。捕り方は木から落ちた栗のイガを剥いて中の栗を採るのがコツ。栗は熟してくると木から自然に落ちるので、それを探すのがベスト。だが落ちてか時間が経過したものは虫に食われていたりすることもあるので用心。また、木に付いているものは、いざ食べると実が渋いものがあったりする。捕り方はドゲだらけのイガを足で固定して、火バサミや軍手をした手で取るのが安全。また、栗拾いでは土の上で「イガを足で踏んで割る」場合もあるのでスニーカーなど汚れてもいい靴で出かけるのがベストだ。たしかに、さつまいもが「栗より美味い」といわれるが、栗だって、やはり美味しい。「桃栗三年、柿八年」という言葉からすれば、実がなるまでにかかる年月も、そう長いわけではない。さらに「猿蟹合戦」では、蟹の仇を打つために一役買っている。誰もが知っているが、ちょっと捕るには近づき難い存在……それが栗なのかもしれない。