秋の風景「秋の長雨 

 

「天高く馬肥ゆる秋」といわれるように、秋の空には晴れ渡ったイメージがあるかもしれない。だが、実際は、9月の中旬頃から10月の上旬あたりにかけて訪れる停滞前線がもたらす長雨で、およそ1か月間は天気がぐずつきがちになる。秋雨前線は梅雨前線よりも弱いとされ、曇りが多かったり、雨にしても、シトシトと降る弱い雨が降り続くのが特徴。また、梅雨と比べて、東日本や北日本でも影響を受けやすくなる。さらに、台風の時期と重なることもあって、思わぬ大雨になることも少なくない。晴耕雨読(せいこううどく)という言葉もあるように、雨の日は読書に勤しむのも一興だろう。すっきりしない天気が続くだけに、晴れた空が待ち遠しく、ひとたび青い秋空が広がると「スポーツの秋」を堪能できるというもの。1964年の東京オリンピックの開会式は秋晴れのいい天気だったことはニュース映像からもわかる。秋の天気は変わりやすいことも特徴のひとつで、「女心と秋の空」という言葉もある。もっとも、この言葉は、もともと「男心と秋の空」だったという説もあり、いずれにしても「秋の空のように人の心は変わりやすい」ということをいったことにかわりはない。