夏図鑑「うちわ」

GX130_72A.jpg「湖畔」という黒田清輝の名画がある。そのタイトルのとおり、湖をバックにした浴衣姿の女性がうちわで涼をとっているシーンを描いている。うちわは、あおいで風を起こすだけでなく、日除けにもなるし、濡れたものを乾かすときにも役立つ。また、夏の夜、近づいてきた虫を追い払うことにも使える。この「はらう」という行為は「災厄を払う」ことにつながり、転じて「身を清める」ためにも使われた。昨今は、アイドルのコンサートで、ファンが、うちわの両面にメッセージを書いたり写真を貼ったりして、アピールするアイテムとしても使われている。さて、冒頭の「湖畔」は、箱根・芦ノ湖が舞台で、モデルは金子種子。じつは、のちに黒田清輝の妻となった女性である。