夏図鑑「盆用意」

pl-201335737348.jpgお盆を迎えるときに、いわゆる「本家の長男の嫁さん」だったりすると、もうテンテコマイだろう。「あの世から帰ってくるご先祖様」のために、盂蘭盆会用の棚をつくったり、お供えものを用意したりするのはもちろん、「現世を生きている大勢の来客」を迎える準備で、大わらわとなる。「盆道」の草刈りもしなくてはならず、お墓の掃除も手を抜けないし、仏具磨きもピカピカに……と、いきおい、夏休みのダンナが駆り出されたり、子供も手伝わされたりすることになる。それでも、昔の女性たちは、文句ひとついわず「家」を支えてきた。いや、女性たちが支えてきたのは、家だけではなく、先祖を敬う日本人の美徳であり、その家の宗派であり、その地域の伝統であり、さらにいえば、日本の文化そのものだったといえるかもしれない。