夏図鑑「すだれ」

GX109_72A.jpg高温多湿の日本の夏を、いかに快適に過ごすか……。エアコンどころか扇風機もない時代の人々は、さまざまな知恵と工夫で暑さをしのいできた。そこで夏の風物詩でもあるすだれそのものは、細い割竹や河川敷や湖畔に生育する葦(ヨシ)などを何本も並べて編みつないで、日除けに利用したものだが、陽射しは遮りつつも、風は通すという優れモノ。さらに目隠し、虫よけなどにもなり、網戸がない時代には重宝した。打水をしておけば涼風が部屋に吹いてこようというもので玄関や、通りに面した部屋にはすだれをさげれば「目隠し」にもなり、現在でも和風住宅では主に窓の外に外掛け用として使われているとくに涼感を誘うのが青すだれで、「青」は、色そのものを指すこともあれば、「新しい」という意味として使われることもある。爽やかな香りが漂ってくる青すだれは、夏を待ち遠しいものにしてくれる。