秋の風景「落ち葉ひろい 

 

 大人からすれば、ただの落ち葉かもしれないが、幼い子どもからすると、公園の樹木の下に広がる落ち葉は、まるで散りばめられた宝物のように思えたりする。あざやかな黄色いイチョウの葉などは、その形にしても不思議なものだし、真っ赤な楓の葉は、その由来のとおりカエルの手にも見えたり、あるいは赤ちゃんの手に見えたりする。もちろん、大人でも落ち葉拾いを楽しむことはできる。たとえば、よく乾かして本のしおりにしたり、ポプリの材料にしたりと、葉を連ねて糸で通し、ちょっとしたドア飾りをつくったり……といったもの。あるいは、「照葉峡の紅葉を見に、群馬のみなかみ町に来ています。俳人・水原秋桜子が、日本一と言っただけのことはあります」と、書いた手紙に紅葉の葉を一枚添えるといったこともできる。もしかしたら、落ち葉拾いは「童心にかえるためのタイムマシン」といえるかもしれない