秋の風景「木枯らし 

 

 秋のある日、「今日は風が強くて寒い1日だったなぁ」と思いながら仕事から家に帰ると、「本日、木枯らし1号が観測されました」などとニュースで流れていて、「やっぱりな」と得心する世のお父さんも多いことだろう。風の強さもさることながら、帰り道に通りかかった公園で風に吹かれた落ち葉がカサカサと音を立てているようすなどを目にすると、寒さも一入だったりする。鍋が恋しくなる季節の到来の知らせる風ということにもなりそうだ。その木枯らしは、太平洋側の地域で晩秋から初冬のあいだに吹く風速8メートル以上の北寄りの風のこと。いわゆる西高東低の冬型の気圧配置になったことを示す現象。樹木の葉を落として枯れ木のようにしてしまうことから名前がついたそうで、「冬の便り」とも言われいる。ちなみに東京地方における「木枯らし1号」は、気象庁天気相談所によると10月半ばから11月末までの間に限るそうだ。また、「木枯らし2号」も「3号も」吹いてはいるが、発表されることはない。それは「木枯らし」は観測情報ではなく季節現象であるためだ。また、秋が木枯らし1号なら、春は「春一番」というのが対照的な存在だ。春一 番は正式な気象用語ではなく、これは昔から漁師の間で使われていた言葉だそうだ。また、木枯らし1号の「号」は台風で使う「台風1号」の「号」にならったのではないかとされる。「木枯らし」と聞いて連想するものが、「紋次郎」なのか、小泉今日子の「木枯しに抱かれて」なのか…で、世代がわかるかもしれない。