冬図鑑「コマ回し

コマ回し.jpg指でひねってまわすコマもあれば、長い棒がついていて両手の掌を使ってまわすコマもある。また、コマの胴体に紐を巻きつけて「エイッ」と投げまわす木製のコマもあるし、それが平たい金属でできているベーゴマもありと、子どもたちは、さまざまなコマに夢中になったものだ。女の子の場合は、指でひねってまわすタイプのコマで、たいていは「誰のコマが一番長くまわっているか」といったおとなしい遊び方をしていたもの。一方、男どもとなると、コマとコマとをぶつけ合う「けんかゴマ」で、その最たるものがベーゴマ。もっとも、お正月には木製のコマ回しで遊ぶことが多かったように思える。コマまわしはまた「芸」でもある。大道芸やお正月の寄席ではコマ回しの披露する芸人さんが登場し、回る傘の上でコマを回したり、細い糸の上をコマが「綱渡り」するような芸だったり、なかには日本刀の上をコマが行ったりきたりする芸でお客さんを楽しませてくれた。もちろん、いまでも、コマを操る芸人さんがいる。コマを漢字で書けば「独楽」で、たしかに独りでも楽しめる玩具の代表である。