冬図鑑「除夜の鐘」
NHKテレビの「紅白歌合戦」で「蛍の光」が流れるころ、除夜の鐘は、もう、あといくつかを残すばかりとなっている。そして「ゆく年くる年」に番組が切り替わると、画面は除夜の鐘を撞く僧侶の姿が映し出される……毎年おなじみの日本の大晦日の光景だ。いつもは「はやく寝なさい」と言われる子どもも、大晦日ばかりは夜更かししていても親から許されたものだ。だが、そうなると安心してしまうためか、こたつでウトウトしてしまい、「紅白でどちらが勝ったかを憶えていない」という子ども時代を過ごした方も少なくないだろう。除夜の鐘は108回撞かれる。余韻がおさまるのを待って、次の鐘をつくために108回つくのには、1時間以上かかる。108回というのは煩悩の数であることはよく知られている。だが、その「内訳」をご存知だろうか。人には六根と呼ばれる「眼、耳、鼻、舌、身、意」のそれぞれに「好、悪、平」があり、これで18類となる。その18類には「淨・染」の2種類があるため、これで36類。その36類を「前世、現世、来世」に配当することから108という数になるというもの。じつは、「108は一年を表わす」という説もある。「十二か月、二十四節季、そして七十二候」の数字を足すと、たしかに108になる。また、「四苦八苦に由来する」という説もある。これは「四苦」を「4×9」、「八苦」を「8×9」と読み、それぞれを合わせると、つまり「4×9+8×9」を計算すると108になるというもの。ちなみに、あるプロ野球選手から「硬球ボールの縫い目も108で、煩悩の数と一緒です」という話を聞いたことがある。
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