春図鑑「菜の花

野原を鮮やかな黄色に彩る菜の花は、まさに春の到来を告げているかのような花。菜の花は、アブラナ(油菜)、ナタネナ(菜種菜)、ハナナ(花菜)の名称を略して菜と呼び、その花を菜の花と呼んでいます。一般には植物園や花の施設などではハナナと表示されています。冬のあいだ、「寒い、寒い」とうつむきがちだった人々の目を覚ましてくれるような存在で、顔を上げると空の色が、冬よりも青さを増していることに気がつく。ひとくちに「菜の花」といっても、「アブラナ」「セイヨウアブラナ」のほか「小松菜」や「野沢菜」の花も「菜の花」と呼ばれる。それぞれ見て楽しむだけでなく、食用としても利用されるのは、昭和世代であらずともご存知のとおり。アブラナについていえば、その名のとおり、食用油も採取される。日本各地で菜の花は見られるが、関東では房総半島の菜の花だろう。たとえば、一面の菜の花のなかを列車が走るようすは自然と共存する鉄道の姿が感じられる。つまり、現代のように、科学技術で自然を破壊することも克服することもなく、文明をつくりあげてきたということだろう。暖かい陽射しのなかで菜の花を見ていると、それだけで心も身体もポカポカと温かくなってくるようだ。ちなみに、菜の花は千葉県の県花である。
 
 

 

春便り 

 

 
 
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