春図鑑「木の芽時

春の陽気に誘われて、用事もないのに出かけたくなる人も少なくないだろう。ポカポカした陽射しを浴びるだけで心も身体も軽やかになるというもの。もちろん、人間だけでなく植物も同様のようで、冬の寒さに耐えた木々たちが、多少の時間差はあるものの、ほぼいっせいに芽吹く。寒風にさらされた森林もそうだが、とくに雪解けの頃、まだ残雪の残るなかで、木の枝に若い芽を見つけると「春だなぁ」と感じることだろう。梅や辛夷(こぶし)などの芽を見つけると嬉しくなったりもする。ところで、歳時記では「木の芽」は「このめ」と読んだ場合は、「一般的な樹木の芽」のことだが、これを「きのめ」と読むと「山椒」(さんしょう)のことになるそうだ。「山椒は小粒でひりりと辛い」のあの山椒である。たしかに、山椒の木の芽は鮮やかな緑色をしているから料理の彩として使われる。また香りがいいことも魅力的だ。そして、山椒の木の芽を使った「木の芽田楽」や「木の芽和え」が人気のあることもおなじみだろう。
 

 

春便り 

 

 
 
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