冬図鑑「

雪.jpg雪が降ってくると、不思議なことに大人でもなんだかワクワクしてしまうもの。そして夜の雪あかりでの薄明かりなった風景や、雪の降った日の朝の静かさは雪がなす演出とも言える。だが、豪雪地帯に暮らす人とっては長く厳しい冬の到来を告げる。雪が氷の結晶であるのに対して、霰(あられ)や雹(ひょう)は氷の粒と呼ばれる。写真でもおなじみの六角形の雪の結晶は、まるで自然界の芸術だ。そのかたちから、雪のことを「六花」と呼ぶことがあるほか、「天花」「風花」という雅な表現も使われる。さて、雪で喜ぶのは、やはり子どもたち。降り積もったまっさらな雪の上を歩くだけでも楽しいが、足跡で雪面に文字を書いたり、大きな絵を描いたりした経験は、どなたにもあるだろう。太宰治の『津軽』には「こな雪、つぶ雪、わた雪、みづ雪、かた雪、ざらめ雪、こほり雪」と、津軽に降る七つの雪が記されている。時として雪害をもたらすこともあるが、しんしんと降る雪は、人の心にとって鎮静剤であり、また、なんとなくロマンチックにさせる存在といえるかもしれない。雪はまた「豊年のしるし」といわれることもある。たしかに米どころと呼ばれる地域には雪国が多い。