冬図鑑「餅つき

餅つき.jpg年末の風物詩といえば、やはり「餅つき」だろう。もっとも、かつては、それぞれの家庭や隣近所、親戚どうしで臼と杵を使って餅をついたものだが、いつの間にか、スーパーで餅を購入し、昨今は子供会や町内会の行事、あるいは歳末セールを行なっている商店街などでのイベントとなってしまったようだ。じつは、餅つきをするには、けっこうな時間と手間がかかる。まず、木の臼には水を張って水分をふくませておく必要がある。乾いていると、臼が割れてしまうからだ。杵にしても、よく洗って水分をふくませておく。杵の木片が欠けて、餅に混ざってしまうのを防ぐためだ。さらに、もち米にしても、6時間から8時間、水につけておき、ザルなどで水切りをしたあとに蒸す。こうした準備ができて、ようやくペッタンペッタンと餅つきが始まる。餅つきのコツは、杵を振り下ろすときには力を入れないこと。杵をあげるときには力がいるが、搗くときは杵の重さを利用する。振り下ろすときは杵の方向をコントロールするだけでいい。これを知らないと、杵があらぬ方向に行ってしまい、思わぬケガをする。あるいは、餅の表面に水を与えている人にケガをさせてしまう。餅を搗く人と水を与える人とが息の合ったリズミカルな動きを見せると、それだけで、なかなかのものだが、突き立てのアツアツの餅を、最初に口にほおばる時の味は、わすれられない。