冬図鑑「かるた

かるた.jpgいまのようにファミコンもテレビのない時代には、冬の夜や雪が降り続くような日ともなると、子どもたちは室内でおとなしく遊ぶことしか楽しみがなかった。そんな楽しみのひとつが「かるた」だ。もちろん「百人一首」をそらんじているような子どももいただろうが、たいていは「犬も歩けば棒にあたる」でおなじみの「いろはかるた」。もっとも、いろはかるたは、江戸、上方、尾張で読み札が異なり、上方の「い」は「一寸先は闇」、尾張の「い」は「一を聞いて十を知る」となっている。さらに、その地方独自のかるたも存在した。たとえば、群馬県には「上毛かるた」があり、群馬県内の名所・旧跡、産業や観光スポットなどが読み込まれている。「つ」は「鶴舞うかたちの群馬県」、「み」は「水上、谷川、スキーと登山」、「る」は「ループで名高い清水トンネル」といったぐあい。かるたあそびは、取り札を置くスペースさえあって、一人の読み手と、二人の取り手、つまり三人以上集まれば楽しめる。難しい言葉もないから、子どもにとっては、もってこいの冬の遊びだったはずだ。ちなみに、「かるた」の語源はポルトガル語と言われていて、英語の「カード=紙片」やドイツ語の「カルテ=診療録」とも縁がある言葉だ。