冬図鑑「囲炉裏

囲炉裏.jpgいまでは、ほとんど見ることのない囲炉裏。古民家園などに行くと、実物が保存されていることもあるが、もちろん火が入っているわけではない。だが、そうなると「囲炉裏」がただ、暖をとるためのものだったと思われてしまうかもしれない。じつは、囲炉裏は火の神様の祭壇という位置づけもあった。そのため、一年中、火を絶やさないことも求められていたのである。また、囲炉裏を囲む席には厳格にルールがあった。土間から見て正面が横座と呼ばれる主人の席で、その隣が客座という隠居した老人や長男が座る席。横座の右手は鍋座と呼ばれ、料理をする人が座る。そんな囲炉裏の燃料は、炭の場合もあるが、たいていは薪。薪は、炭よりも火力としては弱いが、それだけに火持ちもよく、チロチロと燃えているようすは、眺めているだけで長い冬の夜などには癒されそうだ。囲炉裏の上部には「天(あま)」と呼ばれる板が設置されている。火の粉が舞いあがることを防ぐとともに、熱や煙の拡散を防いでくれるものだ。天井から吊るされ、先端がかぎ状になっているのが自在かぎ。鍋や鉄瓶を囲炉裏にかけるために使われていて、時代劇では、おなじみだろう。