冬図鑑「ダルマストーブ」
公立であっても空調完備という校舎が多い昨今の学校だが、かつては、夏は暑くて窓を開けるしかなく、冬はストーブというのが主流だった。しかも、50代以上の人たちは、そのストーブが石油ではなく石炭、コークス、薪や木くず屑の「ダルマストーブ」だったのではないだろうか。昭和40年代の話だが、ある小学校では日直の仕事のひとつが「石炭係」だった。冬の朝、登校してから校舎のはずれにある石炭置き場に行き、バケツに石炭を入れて教室まで運ぶというもの。そして、教室にあったのがダルマストーブである。たしかにダルマの姿に似たストーブで、本体からは煙突がのびていた。教室のダルマストーブに石炭をくべるのは、もちろん先生の役割で、子どもたちは、そのようすをみているだけ。だるまストーブの上には、やかんが置かれ、湯気を立てていた。また、お弁当をだるまストーブの近くに置いて温めたり、ストーブのまわりには網が置かれ、子どもたちをやけどなどケガから守っていた。ただ、火が見えているのに、それほど効率的な暖房器具ではなかったようで、ストーブの近くは暑いほどだが、離れた席の子どもは寒い思いをしていたものだ。なかなか見かけることがないダルマストーブだが、テレビのニュースなどで津軽鉄道のストーブ列車が冬の風物詩として紹介されることがある。あの列車に設置されているのがダルマストーブだ。
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