南阿蘇の原始林を駆け抜ける

南阿蘇鉄道(熊本県・南阿蘇村~高森町)
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2016年4月16日未明に起きた熊本地震により災害前の全線17.7kmに対し現在復旧している区間は約7kmです。特に立野〜長陽間は、2つのトンネルで内壁の崩落や亀裂が見つかり、鉄橋の橋桁も損傷、線路は250mにわたって流出している状況です。被害額はおよそ数十億円、鉄橋の架け替えが必要になるとさらに復旧費用が膨らむとも考えられています。運転再開がいつになるか想像もできない状況となっています。

南阿蘇鉄道では、始発駅の立野駅を出て数分後、次の駅に着くまでのあいだに、まず度肝を抜かれる。走り出した列車が渡る鉄橋の高さが、あまりにも高い。第一白川橋梁と呼ばれる鉄橋で、その高さは62m。昭和2年につくられたもので、完成当時、日本一の高さを誇った。もちろん、この橋からの車窓風景は絶景だが、高いところが苦手な人にとっては、ふつうの車両に乗っていても震えがくるかもしれない。乗った車両が、開放感あふれる、南阿蘇鉄道ご自慢のトロッコ列車であれば、なおさらだろう。件の鉄橋を渡った列車は、その後、阿蘇北向谷原始林のなかを進む。まるで大自然に抱かれているような感覚になる。原始林に茂っているのは、椎、ヤブツバキ、ウラジロガシなど常緑広葉樹だ。当然、野生動物も生息していて、ときにはクマタカの姿を目にできることもあるという。


立野駅と、終点の高森駅とのあいだに、一日14往復の列車が設定されているが、人気のあるのは、やはりトロッコ列車。観光トロッコ列車であるため土・日・休日に運行されるのが基本だが、ゴールデンウィークや、春休み・夏休みには平日も運行される。ちなみに、10駅しかない南阿蘇鉄道だが、じつは「日本一長い駅名」もある。駅の名前が「南阿蘇水の生まれる里白水高原駅」だ。


見頃期間:通年

路線区間:立野駅(熊本県)~高森駅(熊本県) 17.7キロ

駅数:10駅

HP:南阿蘇鉄道

問い合わせ先:南阿蘇鉄道高森駅 0967-62-0058

乗車料金:大人1280円、小人=740円(立野駅~高森駅・トロッコ列車利用/平成27年7月現在)

アクセス:立野駅はJR豊肥本線・立野駅下車、徒歩1分で南阿蘇鉄道・立野駅