春図鑑「たけのこ

アクを抜く手間こそあるが、たけのこの炊き込みご飯も、焼いたたけのこも、鰹節で煮たたけのこも、それぞれに美味しい。また、ラーメンにメンマは欠かせない。じつは、さっと湯を通して食べる「筍の刺身」は、ビールにも日本酒にも小中にも合う、いいつまみだ。食用となるのは「モウソウチク」と呼ばれるもの。生長するスピードが速いことから「十日間」を表わす「旬」の文字が使われ、「竹かんむり」に「旬」と書いて「筍(たけのこ)」とは、よくできた漢字だと感心する向きもあろうが、じつはたけのこが成長しきるまでには、2か月から3か月かかるといわれている。似たようなものが次々と現われたり、同じようなことが起こったりすると「雨後のたけのこ」といわれ、身ぐるみをはぐような生活のことを「たけのこせいかつ」と表現し、ヤブ医者未満の未熟な医者のことを「たけのこ医者」と称するなど、あまりいいたとえに使われないたけのこだが、竹が、「青々として、まっすぐに伸びることから清浄な植物のひとつ」とされている。
 

 

春便り 

 

 
 
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