夏図鑑「花火」

53a046d17d30f4b99b7e619f8597cd8d_m.jpg夏の夜空を彩る打上げ花火が、いまのように絢爛なイベントになったのは江戸時代中期のこと。享保年間に、畿内では飢饉が起き、江戸ではコレラが蔓延した。時の八代将軍・徳川吉宗は、死者の慰霊と悪霊退散を祈り、隅田川で水神祭を催し、大花火を打ち上げさせた。これが東京の夏の風物詩「隅田川花火大会」の起源。花火は「もともと軍事用の狼煙(のろし)」だったものが、江戸時代に入り、花火職人の鍵屋弥兵衛の手により、製造技術が格段に進歩、やがて庶民の夏の楽しみとなった。花火が上がったときの「か~ぎや~」というかけ声は「鍵屋」の屋号に由来する。また「た~まや~」のかけ声は鍵屋六代目の手代が、暖簾分けによって店を構えた「玉屋」の屋号に由来する。明治時代以降は日本各地で花火大会が開かれ、多くの人が楽しめるようになった。ちなみに、近年「日本三大花火大会」と呼ばれるのは、秋田県大仙市・茨城県土浦市・新潟県長岡市の花火大会である。